母の切り絵は、子供の頃から見慣れている。
もっとも、初めのうちは「貼り絵」というもので、渋い色の和紙を様々な形に切って色紙に貼って和風の絵にしてゆく、ということをやっていた。
僕が保育園児の頃は、この「貼り絵」だったが、小学校に上がってからは、一枚の黒い紙を輪郭で切り抜いてゆき、全く切り離れる箇所が無い、という凝った絵になっていった。
それから40年以上、切り絵を描いて、切って、貼っている。
有名な版画家も「切り絵」を始めて、突然「切り絵ブーム」みたいになった時もあり、中学校に入った頃には「切り絵教室」なんか開いて先生となり、高校時代には「日本きりえ協会」なんて出来てしまい、その代表委員になったりして、母はどんどん忙しくなっていった。
そのうち、全く一枚の紙でやる、というこだわりは無くなったようで、今では子供の頃に見た画調とは、かなり変わって、明るいものになっている。
僕は、母の作業している後ろ姿を見、母の料理を食べ、その切り絵を見ながら育ち、それと関係があるのか無いのか、映画を作って暮らしてる訳である。
今回の画集は、外国の風景が主で、父との楽しい旅の気分が伝わり、さわやかなものになっている。
しかし、リッチな観光旅行や買い物旅行ではなく、平和を願う祈りの旅であるところが、また、さわやかなのである。
金子修介
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